「スキル(以下、技術)は、大人になってからでも、”やる気”さえあれば、いつだって身に付けることができます。”好き”は、幼児期しか育んであげられません。だから、今、育んであげましょう!”好き”だけは、今後、教えたくても教えられません。」

乳幼児の英語の音楽教室をしていた頃、ご両親によく申し上げていたことの一つです。

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目次

  1. 技術主義は早い時期に限界が来る
  2. 情熱はいつどうやって獲得する?
  3. 五感ってどうやって育むの?
  4. 本物に触れさせてあげたい!本物って?
  5. 本来モチベーションはいらない
  6. 幼児期の早期教育の主軸におくもの
  7. 番外編 トラウマ?海馬は再生可能

技術主義は早い時期に限界が来る

「技術主義は早い時期に限界が来る」という脳科学的事実をご存知ですか?

例えば、2-3歳の凄く早い時期から、毎日毎日練習を強要され、泣きながらピアノを続けてきたお子さん。このおこさんは、次第に、ピアノが楽しめなくなり、嫌いになり、やがて、ピアノを辞めてしまう。辞めなかったとしても、やる気が削がれているので、技術的に、そこそこのレベルには達したとしても、それ以上の成果につながらず、大勢の中に埋漏れてゆく。

ピアノ人口1000万人と言われてきた日本で、ちょっと前までは、こんなピアノの教授法によって、泣く泣くピアノを「やらされて」ピアノ自体は好きだったはずなのに、弾き続ける情熱を失ってやめてしまったママやパパがいらっしゃるのではないでしょうか。

物事をする時、し続ける時に、「好き」好奇心、つまり情熱がないと、この、ピアノ辞めちゃった!やる気しない!みたいになる状況って、結構あるのではないでしょうか。

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「好きこそのものの・・・」っていうように、情熱って、きっかけを作り、それを成し遂げるエネルギーとなりますよね。これを使わないで、事を成し遂げるのは、大変な精神力がいるでしょう。とても燃費が悪そうです。

情熱はいつどうやって獲得する?

じゃあ、情熱を持ちたい! 情熱ってどうやって得るの?生まれるの?

情熱は、「好き」や「好奇心」から生まれてくる。「好き」は、「感動」から生まれます。そして、感動は「五感」を通して生まれます。五感は、乳幼児期の環境から育まれますが、五感は、その獲得において、幼児期が臨界期といわれています。五感は、幼児期に臨界期がきてしまう、待ったなしの能力ということです。

「臨界期」についてはこちらを見てください。ここではざっくり、何か能力を獲得するのに、一番効果的に吸収しやすい時期と捉えておいてくだるといいと思います。臨界期 – 脳科学辞典bsd.neuroinf.jp

五感ってどうやって育むの?

だとしたら、大変です! 幼児期がお誂え向きの獲得時期、またとないチャンスであるならば、五感は、今のうちに、出来るだけ育んであげたい!!

では、五感ってどうやって育むの?私見で、しかも、目新しいものではないのですが。従来の保育の専門家たちも口を揃えていうかもしれない五感を育む方法をシェアさせてください。

大きな一つ目、五感を育むのに「外遊び」に勝るものはないと思います。特に、自然環境豊かな場所で、大人があまり口を出さずに見守る環境下で、が望ましいでしょう。

脳の機能は、刺激することで培われてゆきますので、五感=感動の経験を積み重ねてあげることで、その機能がぐんぐん刺激されてゆきます。また、脳の神経回路を作るのには、その刺激経験の繰り返しも大切です。

子供たちにとって、感動することとは何でしょうか。普通に考えて、人工的な環境、モノより、人間の想定を超えた創造性が宿る、外の自然環境の方が、感動を得やすいですよね。外にいれば頭のてっぺんから足先まで動かしますし。そしたら、五感が刺激されること間違いないでしょう。

大きな2つ目として、室内でできることとして、音楽を表現すること、絵を書いたり、クッキングやクラフトなどの創作活動です。結局、創作活動というか、自己表現活動ですね!アートとも言えるでしょう。

室内創造活動でも、人工的な素材を道具にするよりは、使用目的が創造力でいくらでも変えられるシンプルな素材をつかうと良いですよね!棒だったり、何かの塊だったり、、布だったり、です。ここでも、大人は、出来るだけ見守るアプローチが望ましく、間違っても、子供が聞いてもいないのに、顔はこう書くのよ、目はこうで、鼻は、こう!なんて、手を持って親が書かせたりしないで欲しいです。

(余談ですが、知育教育の教え込みをされてきた子は、その子の絵をみるとわかる手法があります。特に6歳前で、髪の毛をへんちくりんに描くお子さんがいたら、内なるSOSの悲鳴をあげていることが少なくありません。心当たりがあれば、教えすぎかも?!と意識してくださるといいと思います。)

五感を司る脳の部位は、感情を司る部分に等しいです。これは、大脳辺縁系と脳幹&小脳、つまり、前回の記事↓でいう3つの脳のうち、爬虫類そして哺乳類の脳の部分にあたります。

よって、この部位を臨界期を迎える幼児期までに、十分に育んであげること、それを楽しんでゆくのが、幼児の発達には、一番必要なことになるでしょう。この時期の子育ては、脳幹&小脳、大脳辺縁系への刺激を最大化させてゆくことが、本当は、一番効率がいいということになりますから。となると、時間は限られていますから、この時期の発達にあまり関連性のない、机上の書き取りや計算を教え込まれたり覚えたりしている場合ではなくなるかもしれません。

本物に触れさせてあげたい!本物って?

第一子の子育てを始めたばかりの幼児期のお子さんのママやパパが、しばしば、お教室で言われていました。「子どもには、出来るだけ、本物に触れさせてあげたい」って。実は、私も親になりたての時は、その様に思っていたので、このお気持ちがよくわかります。

ただ、本物に触れさせる「本物」について、理解が異なると、効果的どころか逆効果になってしまうこともあるので、注意が必要です。

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例えば、「本物を聞かせたい!」と、0-3歳のお子さんを、大人が楽しいオーケストラなどの大きな音の出る楽器のライブのコンサートに連れて行っちゃったりする場合があります。

すると、往々にして、演奏が始まり間も無くして、お子さんが泣き出したり集中できない状況になったりしませんか?そこで、「この子は音楽に興味がない!」なんてレッテルを貼ってしまったらもう残念すぎます。お子さんが、音楽を楽しめている風な場合は、(稀だと思いますが)いいかもしれませんが、おおよそ、ライブの楽器のコンサートは、お子さんは、雑音としか捉えられない聴覚の発達段階にいるからです。(難しくいうと、聴覚の髄鞘化が起きていないということ)。最初、楽器の突出した音に注視するので、楽しんでいるように見えますが、すぐに興味を失うのは、それを奏でとして捉えられないからなのです。

奏でではなくて、騒音にさらされている環境下で、静かにじっとすることを強いられ、しかも、長時間の大きな音にさらされることで、耳の毛細細胞にダメージを与え、難聴になるリスクも指摘されています。ですが、それを繰り返すことで、音楽が「好きではない」という指令を大脳辺縁系や脳幹に送る経験を積み重ねてしまうことになるでしょう。

幼児期までの(聴覚の髄鞘化が起きていない)お子さんにとって、「本物」の音とは、自然の音や「声」になります。風の音、海の音、ママの創造性豊かなアナログな歌、語りかけが、この時期のお子さんの「本物」の音なのです。

いずれにせよ、「本物に触れさせてあげたい」という親心って、親の本能的な感覚だなって感心してしまいます。これって、結局、「我が子の五感を(本物ならばできるでしょうから)育んであげたい。」と意訳できますから。親が無意識に、この時期、これが大切!ってわかっているんですよね。なので、お子さんに(できる限りでいいので)その環境を整えてあげられたら、あなたもお子さんたちもあとあと満足するに違いありません。「あの時期、ああしてよかったねー!」って。

本来モチベーションはいらない

お子さんの五感は、この時期に十分に育まれることで、情熱的で好奇心旺盛で、究極ですが、「モチベーション」とほぼ無縁の人生が送れるようになるのでしょうね。モチベーションって、やりたくないことに取り組まなければならない時の「エナジー」のことをいいますものね。取り組もうとしていることが好きならば、好きになれるのであれば、モチベーションはナシでよいですよね。「好き」で、自然に取り組むためのエナジーが生まれますから。

あなたのお子さんがそんなモチベーションフリーな人生を送れたら、ずっと幸せでしょうね!?やる気で満ち溢れていて。教育とは、結局、そう、より幸せに生きるために、あるのではないか、と思うのです。

幼児期の早期教育の主軸におくもの

どうでしょう、この時期の子育ての「主軸」に置くものを脳科学的に考え直してみませんか?

この時期に五感を育むことで、哺乳類の脳までを十分に整えてゆく。そしたら、前頭前野での読み書き計算、論理、社会性など、複雑なことを学ぶ準備ができる、学びが加速するのですよね。この哺乳類脳までのベースができてから、大人が学ぶことを子供にも教えてあげると効率がいいといいます。実際そうしてきた子供たちを(何人も見てきましたが)見るとその違いにあなたも驚くに違いありません。

早いうちに大人が学ぶ知識を植え付けようとしても、順番に脳が発達する順番にステップを踏襲しないと、成果につながらないどころか、子どもをやる気のない人間にしてしまう可能性だってあることを念頭においておきましょう。

この読み書き、複雑な社会性を司る脳の前頭前野は、ちょっと前まで、20歳くらいまで発達し続けると言われていました。最近では、30歳までその発達を続けると言われるようになりました。

体のどこかの部位を損傷してもリハビリテーションで、想像できなかった運動機能を取り戻す人も少なく無いですよね。これは一重に、その損傷した脳の部位が再生するというよりは、前頭前野にてそれを補完する神経回路バイパスができるためと言われているようです。ですから、30歳までとか言わずに、ひょっとしたら、(回路が違うかもですが)うまくやれば、「前頭前野」を発達させるのに限界はないのかもしれない、と個人的には、信じています。

いずれにしても、幼児期に、知育、読み書き、勉強を教えることに、焦らなくても、十分に有能に育てられるので、安心してくださると嬉しいです。

番外編 トラウマ?海馬は再生可能

私は、生家由来のトラウマを抱えている、と思っているあなた!トラウマの研究も進化してきて、トラウマがあると、脳の情動を司る海馬という部分が、傷ついたり萎縮したりするとの知見がありましたね。それで、余計辛い思いをしているかもしれません。ですが、気にすることはなさそうです!その海馬でさえも修復可能で、発達し続けることができることが確認されてきました。脳の神秘を考えれば、当たり前な気がしませんか?

脳って、本当にユニバース!宇宙だなあって、無限だなあ、愛だなあ、神だなあって思います。(無宗教ですが、、)脳は、あなたがこう!って思えばそうなるようになっています。その信号の送り方を少し学べば、もっと効果的にそうなってゆくでしょうね!きっと。(くるみ式 でも学べます。)

いずれにしても、脳に関する知見は、子育てにしてもご自身の可能性についても、希望につなげて活用してゆけるとよりハッピー!意識をうまく制御して、どの様にでも脳の発達は促して行けますし、促してゆきましょうね!

今回はこの辺で。

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 上記の記事ですが、以下の先生方からの知識をもとに、自身の看護・医療・医薬品業界・療育・乳幼児教室運営からの知識や経験、インスピレーションを交えて、私の言葉に変えて綴っています。

Burton L. White, 柳澤弘樹 , 小林正子, 久保田競, 国立青少年教育振興機構, NHK, Cynthia Whitham, Sally Ward, William Sears, 伊藤幸弘, 佐々木正美, 天外伺朗,蛯名玲子, 相良敦子,小林正観, 岡本茂樹, 小泉英明, Frances E Jensen, 渡辺久子,David Epstein, 尾木直樹, 苫米地英人, 杉山登志郎,Bassel van der Kolk, 三木成夫など (敬称略)

この記事は、過去にNOTEに投稿したものの転載です。https://note.com/aone_kurumi/n/nf9e600019996